モンテッソーリ時代(1999年~現在)
創立50周年に向けて、みょうじょう幼稚園は「教育の場」であり、「子どものみならず、親や家族、教職員が教育に与る場」であると自らの使命を確認しました。それゆえ「教育」に力を注ぐために、「モンテッソーリ教育」を導入することを決断しました。
そして、創立50周年の教育刷新事業として、モンテッソーリ教育へ切り替えました。その際、留意したことは、創立以来の歴史の中で育まれた「みょうじょうらしさ」を無くしたり、変えてしまったりせず、伝統の上にモンテッソーリ教育を積み上げるという点でした。
みょうじょうには、広い土の園庭があります。創設から続いたイタリア人神父園長の開放的な雰囲気がありました。保護者の間に、保護者と教職員の間に信頼関係があり、園全体に一体感のある園でした。そして、家族で楽しむことが出来る行事が豊かな園でした。
これらの「みょうじょうらしさ」を、モンテッソーリ教育と対立するものとしてではなく、尊重すべきものとして評価し、さらに、学園建学の祖である「聖フランシスコ」の精神に基づいて、モンテッソーリ教育を実践しようとすれば、「交わり」や「フラテルニティー(きょうだいのような関わり)」を尊重する形態でモンテッソーリ教育を導入すべきとの考えに至ったのでした。
モンテッソーリ教育の経験と実績を持っておられたシスター久原蓉子先生を初めての女性園長として迎え、松本巌副園長と熱意ある教職員の努力により1999年から3年かけて縦割りクラスに切り替えました。教員もモンテッソーリ教師資格(ディプロマ)取得を条件に採用されているため、恵まれた人的環境を構成することができました。モンテッソーリ養成校の実習園に指定されたり、保育雑誌の取材を受けたりと、世田谷にあっては後発のモンテッソーリ教育導入でしたが、教職員の努力と保護者のご理解・ご協力により年ごとに着実に教育内容を固めていきました。
園庭の遊具も「こだわりの逸品」に一新されました。老朽化していたスカウトハウス(旧木造園舎)が取り壊され 跡地にロンゴ広場(第二園庭)が整備され、砂場と木登り遊具を中心にした「ごっこ遊び場」、季節の変化を見せる「畑と果樹園」として園児のみならず、卒園児やスカウトの子どもたちをも魅了しています。
次いで園長に就任した松本巌神父の主導で、宗教法人立から、学校法人立へと設置者変更を行い、財政的基盤を確固たるものとしました。4クラスで始まった縦割りクラスも、10年を経て6クラス。総勢180名の規模の園に復興しました。
これらの「刷新プロジェクト」の完成とともに、園長が松本文恵修道女に交代し、創立60周年を祝いました。2015年、長くみょうじょう幼稚園に勤務されていた高橋由美副園長が園長に就任し、次の10年に向けて「刷新プロジェクト2」が始まりました。モンテッソーリ教師の資格をもつ若手の教諭を「クラス担任」とし、結婚・出産で一度現場を離れた教諭を呼び戻し、「担任補佐」として若い教諭のロールモデル(お手本)となって経験を伝え、互いに支えあうという「若さと経験のティーム・ティーチング」が、再始動したみょうじょう幼稚園の姿です。
運営基盤の更なる強化のために、同じフランシスコ修道会が設立した、田園調布の小さな花の幼稚園と学校法人を統合することになり、2018年4月に学校法人聖フランシスコ学園から、学校法人フランシスコ学園に設置者変更しました。
この機に、フランシスコ会神父の長谷川潤が11代園長に就任しました。
2020年4月、フランシスコ学園理事会は、みょうじょう幼稚園の教育理念とモンテッソーリ教育の実践を高く評価する一方、園の組織運営や労務管理をより堅固にする必要があるとの認識から、管理職人事を固める決定を致しました。長谷川園長は学園長となり、理事長のもと、園長を支える立場に就くことになりました。みょうじょう幼稚園の12代園長には園運営と労務管理にも経験と実績のある寒川素子先生が就任されました。就任早々に、新型コロナ感染症による緊急事態宣言に伴う臨時休園という想定外の事態への対応にあたることとなりました。その後、時代に要請されている未就園児の教育をモンテッソーリ教育法で行い、モンテッソーリ教育法による0歳から6歳までの一貫教育を確立。子どもの更なる成長の援助へとつながりました。

▲園舎(2007年)